去年の冬、時間つぶしに入った越後湯沢駅の待合室で、とても情緒のある写真展示がしてあったのを思い出した。被写体は、主に昭和初期の湯沢の雪景色や、そのころ全通したばかりの上越線を行く機関車(昭和6年の全通当時から電車だった)を撮影したものたち。川端康成が書き溜めた短編を『雪国』の形にまとめ上げ出版したのが昭和12年。まさに小説『雪国』の時代を記録した写真展示でもあった。その中の一枚に、先日家族で訪れたばかりの<布場スキー場>の盛況ぶりを記録した一枚の写真があった。まだリフトもなく、スキーは木製の一枚板。留め具も革紐だった頃。(もちろん今を先取りするヒールフリー、、、。) 小説『雪国』の中では<スキイ場>として登場する、あのスキー場である。ゲレンデの斜度やレイアウト、はたまた食堂の並びまで今と殆ど変わらないのに驚く。決定的に違うのは、通りの向こうが見渡す限りの雪野原だということだ。
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